オキナインコと私

オキナインコのあきちゃんと暮らしています。

あきちゃんの匂い

この季節は、鳥たちがぴよぴよにぎやかになる季節。

 

ぴよぴよ、と表現するけど、

実際には、セキセイズは、甲高い声で

ピイッツ、ピイッツ、とか

ギギギギギー、とか

いろいろ大きな声を張り上げたりする。

パートナーを求めている。

 

あきちゃんは、ぴよぴよ言わなくて

通常通りの感じだけれど

 

 

最近、やたらと私の顔をなめる。

ぺろぺろして、湿ってくるのがわかるくらい

なめる。

 

すぐに、手に乗ってくるし

乗ったら最後、なかなか降りようとしない。

 

なついたのか、私をパートナーとして

恋愛中みたいな気分になっているのか

ちょっとわからない。

 

どちらにしても、かわいいのでうれしい。

 

ただ、顔をぺろぺろなめてくれるのは

うれしいけど

ガブっとされたら

けっこう痛いし、

うっかり流血でもしたら、恥ずかしいので

 

「ガブっとはやめてよ」

と、声をかけつつ、頃合いを見てやめさせる。

 

それでも、しつこくぺろぺろしたがる。

 

私の、鼻の頭をぺろぺろする時

あきちゃんの口から、

香ばしいいい匂いがする時がある。

 

よく、麻の実をおやつに食べた後、

手に乗りたがって、顔をぺろぺろするので

麻の実の匂いじゃないかなぁと思っている。

 

身体を匂っても、無臭なので、

あれは、麻の実を食べた後の、おいしい匂いなんだろう。

 

 

肩に乗るのが好き、と聞いていた。

家に来たばかりの頃は、

肩に何度か乗ったけど

最近は乗りたがらない。

 

ずっと、手にとまっている。

 

私の手が怖くなくなったという事の様だ。

 

手乗りの鳥が、手に、

当たり前にとまるってことは

当たり前に思えるけど、

 

それは、本当はすごいことなんだと

思っている。

 

3羽セキセイインコを飼っているけど、

私の手が好きで、手を出すと

手にとまるために、サッと飛んできてくれる子は

1羽しかいない。(当然だけど、彼女の気が向いた時の話)

 

後の子は、手にはあんまり止まりたくない人達。

 

とまらないわけじゃないけど、

とまりたくてとまりたくてたまらないって感じでもない。

 

手にとまってくれるというのは

 

私の事を怖くないと思っていて

私の事を信じてくれていて

私から絶対危害を加えられないとわかっている

 

という事だと思う。

 

怖いなぁ、いやなことされるなぁ、と思ったとたん

絶対に手には乗ってこなくなる。

 

あきちゃんを買う事にした時

とにかく、あきちゃんに無理強いをしたり

私の都合や、私の欲で

あきちゃんに接しないようにしよう

と、決めた。

 

セキセイインコとは違う賢さを持った鳥だから、

一回関係がこじれたら

修復するのが大変だと思った。

 

だから、あきちゃんが嫌だと思うことは

とにかく避けて

彼女がどう感じているかを

大事にして接してきた。

 

はじめて、あきちゃんが手に乗ってきた時は

感激した。

 

セキセイインコよりも

ずっしりと重くて、大きくて。

 

でも、すぐにカゴに帰りたがったので

手からすぐに降ろした。

 

あきちゃんは、なかなか手に乗って来てはくれなかった。

 

その時に

鳥が手に乗って来てくれるということは、

すごいことなんだと、

幸せな事なんだと、

ありがたい事なんだと

しみじみ思った。

 

今でこそ、

もう、降りてくださいといいたくなるくらい

あきちゃんは

私の手に乗っているけど

 

ここまでになるのに、

ゆうに8か月はかかった。

 

あきちゃん、手に乗って来てくれて

ホントに

ありがとう。

 

ガブっとは、やめてね。

痛いから。

 

 

あきちゃんの店員さん

あきちゃんを、購入しようと思った時

ものすごく迷った。

 

ペットショップの店頭価格としては、

オキナインコのあきちゃんは

どちらかというと

お安い方の価格だったけど

 

それでも、

我が家の

真っ白の羽衣セキセイインコ

黒い瞳のダブルファクターの

やんちゃ娘の

10倍のお値段だった。



 

羽衣ちゃんを買うのにも

躊躇したのに

 

息子にどうしても、とねだられて

えいやっと、思い切って買った

あの、羽衣セキセイインコの10倍の値段の

オキナインコ

 

自分のために買うなんて

あまりにも贅沢の極みではなかろうか・・・

 

でも、そんなお客の

固い財布のひもを

ペットショップの店員さんは

上手に緩めてしまった。

 

ペットショップの店員さん

「触ってもいいですよ~」

から始まって

「ちょっと手にとまらせてみましょうか~」

と、

お財布のひもを緩める方法を熟知している。

 

でも、私が感心したのは

その店員さん、若い女性の態度だった。

 

「いつも、同じところに止まってますね。

 糞が同じところに盛り上がってるし」

と、私が言うと

 

「あそこが好きみたいなんです。

 となりの(カゴの)ウロコインコがにぎやかなのがいやで

 あの位置なんです。

 もう片方のとなりの(カゴの)ヨウム

 やや静かなので、

 ややヨウムよりのあそこなんです」

 

「ちょっと、羽をかじってる?」

と、きくと、

 

「落ちているのは、齧って抜いたっていうより

 抜けかけの羽が気になっていじった

 って感じです。

 以前、となりがコガネメキシコインコだった時

 すごく毛引きしちゃって、

 お店の裏に入れて一人きりにしてやったら

 毛引きが止まって

 それからは、となりの鳥を静か目な子にしています。

 それからは、毛引きはでていません。」

 

「神経質な面があるので、3日に一度カゴの掃除をしているので

 糞が山盛りになっています。

 まあ、ほとんどあそこにとまっているんです。」

 

「ベストポジションってとこかな」と言うと、

 

「そんなとこですねー(笑)」

 

「手には乗る?」と聞くと、

 

「手よりは肩の方が好きです。

 乗らないってわけじゃないんですけど、

 肩に乗りたがります。」

 

「噛む?」

 

「噛むっていうよりは、嫌な時、押しやる感じです。」

 

「静かそうな子よね。よく鳴く?」

これは、もしかしたら一番気になるポイントだった。

オキナインコは、鳴き声が大きいと、

どんな飼育本にも書いてあったから。

 

「静か目です。そんなに鳴きません」

 

「この子は、私の推しなんです。

 すごく控えめな子なんです。

 にぎやかで、遊び好きな子もかわいいんですけど

 控えめなところが私の推しです」

 

「この子は、別の支店にいた子で

 うちに来た時には、挿し餌が終わってきたんです。

 差し餌が終わるころには、

 たくさん遊んでやらなきゃいけないんですけど

 遊べなかったみたいで、

 控えめな感じに育ってしまって。

 こちらで、いろいろ工夫したんですが

 こんな感じで。

 でも、ちょっとずつ心を開いてくれるのが

 うれしいなぁ、って、そういう子なんです。

 そういうところが、私のいち推しなんです。」

 

これが、私の性格を見抜いて、狙ったセールストークなら

ものすごいやり手のセールスウーマンだろうけど

 

真偽のほどは、分からないという事で。

 

ただ、彼女の言っていることは

よくわかった。

気持ちの通じ合う瞬間って、

誤解かもしれなくても

ある種の感動があるもので、

 

あきちゃんとの間で

彼女はその感動を経験し、

私にそれを、正直に話してくれた。

 

あきちゃんの、いい面(がいくつあったか、ちょっと疑問だけど)と

悪い面(と、いうか困難が予測される面)を

正直にすべて話してくれた。

 

毛引きは、ちょっと心配なポイントだった。

 

でも、毛引きしてない

つるんつるんのピッカピカの鳥を買っても

飼い方次第で

抜いちゃうことはよくあることだし

 

性格にしても

にぎやかで遊び好きな鳥が

私にピッタリな鳥というわけでもない。

 

赤ちゃんの時にはいくらでも手に乗って来ても

成長して、その鳥の性格がはっきりしてきたら

手に乗るより

自由に遊びたがる子になることもある。

 

こちらのミスで、噛みつく子にだってなってしまう。

 

あきちゃんは大人になっているし

プロの店員さんに育てられているので

適切に対処してもらって

大人になっているので

話してもらったそのままの鳥だと信じていいと思った。

 

なんといっても、

手乗りの鳥を購入しようとする客に

手より肩に乗る方が好きです

とはっきり話してくれる店員さんの

言っていることに

嘘偽りがあろうか。

 

毛引きしていました、とまで話してくれた

彼女の言葉を

信じられないなんて、事はない。

 

彼女が話してくれた通りの鳥であることは

明白だと、私は思った。

 

目の前のオキナインコの

性格はわかった。

静かな、あまり鳴かないオキナインコだということも

まず間違いなさそうだった。

 

「おしゃべりする?」

 

「しますよ。でも、ひとりっきりのとき

 いっぱいおしゃべりしてます」

 

苦笑いがでたけど、控えめな性格なので

ひとりっきりのときなのだね。

 

結局、あれこれ悩んで

購入に至ったわけだが

 

あきちゃんは、

彼女が話してくれた通りの鳥だった。

 

 

彼女は、誠実な店員さんだった。

 

数日後ペットショップで彼女に会った時

私に気づいて話しかけてきてくれた。

 

彼女が、

 

おきちゃんは、あの人に買われていって

よかった。

あの人には、おきちゃんがぴったり合うと思う

と、みんなで話したんです。

 

と言ってくれた。

 

なんだかよくわからないけど

嬉しかった。

 

「あきちゃん毛引きしてました」

の補足記事のつもりで

書いた。

 

私は、あきちゃんの事が

すごく好き。

 

あきちゃんとの仲は、

今現在も進行中で

今がゴールに到達したという事でもない。

 

確かにあきちゃんは

触られるのが嫌い。

神経質。

 

でも、それは

あきちゃんの生まれ持った性格というか質(たち)のようなもので

 

外交的な人か内向的な人か

 

というようなもので

 

触られたくなくても神経質でも

私を好いてくれているし

私のことをはみはみしてくれるし

 

私と仲良しなことは変わりない。

 

あきちゃんは

ペットショップで適切に世話されて

大人になったであろう鳥で

 

あきちゃんを

そうやって私のもとに売ってくれた

お店の人に対して

ありがたく思っている。

 

 

あきちゃん、毛引きしてました。

あきちゃんは、ペットショップに居た時
羽をかじって抜いていたことがあった。

 

よくもまあ、
羽をかじって抜いていた鳥を
買おうと決めたものだよ。

 

羽齧り、
飼育本などでは「毛引き」と書いているけど

 

習慣になりやすいし
あまりに毛引きがひどいと
地肌がみえてしまって
羽が生えてこなくなったりする。

 

見た目に痛々しいし


さらに
自咬といって、
身体を噛んで流血したりする状態に
発展することもある。

 

人間でいうところの
自傷

 

本によると、
ストレスとか退屈を紛らわせるために
そんなことになるらしいのだけど

 

買う事を決めた時にも
自分で抜いたと思える
羽がカゴの中に
何本か落ちていた。

 

あー、抜いちゃってる

ペットショップ暮らしが長くて
抜いてるんだろうな

 

と、その時思った。

 

あきちゃんが、お店に来た頃
初めてあきちゃんに会った時

 

あきちゃんは、
カゴを覗き込んだ私の方に
出てきて、

 

カゴの網にしがみついて
私の目を覗き込んだ。

 

アイコンタクトを取ってきた。

 

そのときから
落ち着いた感じの鳥だったけど

 

見に行く度に
正面に出てきて
金網に張り付いて

顔を覗き込んでくる鳥だった。

 

それが、いつのころからか
奥の止まり木にとまって
出てこなくなった。

 

カゴの前にやってきて
声をかけて
やがていなくなる

 

通り過ぎるだけの
ヒトに興味を失ったみたいだった。

 

そんなヒトと
コンタクトをとる努力など
しても

良い事なんて何もないことが
分かった感じだった。

 

別のペットショップの鳥の話だけど、


その鳥は
ソロモンオウム

 

なんと、50万円もする高価な鳥で、
海外から日本にやってきた鳥だった。

 

あきちゃんとは違って
ものすごく活発で
ほがらかな感じの鳥で

 

見に行くと
すぐにやってきて
くちばしをカゴの金網越しに差し出して
遊ぼう遊ぼうという感じになり

 

頭を擦り付けてきて
かきかきして、
とねだるような
素敵な鳥だった。

 

この鳥となら
人生のパートナーになれるんだろうなぁ

 

と言う感じの
きれいで、朗らかで、かわいらしい
鳥だった。

 

その鳥が
数か月後には
毛引きで胸のあたりがはげてしまい
グレイの皮膚がむきだしになっていた。

 

カゴの正面には出てこなくなり
無反応な鳥になっていた。

 

そういう鳥の様子を見て
私は悲しかった。

 

飼い鳥っていうのは、
誰かに買われて連れて帰ってもらって
愛されて生きていく生き物なんだ

 

そうされてこその
生き物なんだ

 

と、私はしみじみと理解した。

 

だから、あきちゃんのことも、
あきちゃんの様子を見ていて
痛々しく悲しい気持ちになっていた。

 

昨年、
いろんなことがあって
私の人生がちょっと動いて
我慢することがいっぱいあって


それから逃れるように
あるいは
それを乗り越えた自分をほめてやりたくて


そして
いま、手に入れなければ
鳥を見送ってから自分が彼岸に行けなくなるのでは
という思いがあって

 

迷いに迷った末
ずっとあこがれていた
セキセイインコよりも大きな鳥を
買うことにした。

 

どの鳥にするか
考えた時

 

美しいウロコインコ
これは、お値段がおてごろね、

 

かわいいシロハラインコ
でも、ちょっと私の財力では
お高いな、無理無理

 

ソロモンオウム
飼ってみたいけど
財力不足の上
大型のオウムは、私のスキルでは飼いきれなさそう

 

などなど
色々考えて

 

私が一緒に暮らすのは
利口な中型インコ

 

オキナインコ

 

ヒトの言葉をよく覚え
状況を理解し
ヒトの言葉で
コミニケーションをとろうとする

 

そんなオキナインコ

 

これしかない。
そう、結論が出た。

オキナインコは、お値段もお手頃。
現実的な選択だった。

 

オキナインコを買うのに

雛で挿し餌を与えながら飼うことも

考えた。

 

可愛くなつくかな。

と、思った。

 

でも、

ふと、あきちゃんの姿を思い出した。

 

この日本に

いったい何羽のオキナインコが

出荷されているんだろう。

 

きっと、いっぱい出荷されているはず。

 

小さくて、なつきやすくて

ニギコロ出来て

 

そんな風に育てることの出来る

かわいらしい雛がたくさん出荷されている。

 

もう、私は

そんなすぐに家族が見つかる子は

いいかなぁ。

 

ずっとあそこにいる

あの子を

自分の大事な一羽にしようかな

 

そう思った。

 

そして、あきちゃんを

買った。

 

私は

お迎えした

なんてきれいな言葉は使わない。

購入しました。

 

そして、彼女を

尊重して

 

できうる限り、

尊重して暮らそうと

試行錯誤している。

 

 

あきちゃん、あくしゅ

最近、あきちゃんに

あくしゅを教えてみた。

 

あくしゅ、を教えるのは、以前一度断念していたのだけど

 

なぜ、断念したのかと言うと

その時は、まだお互いが親しくなかったから。

 

あきちゃんは、

「手に乗りませんか」

と、言って手を差し出した時

「乗ってもいいかな」という気分だった場合

右足をそーっと私の人差し指の根元にかけて

そのまま、しばらく考える。

「やっぱりやめとこう」

というときは、そーっと足をひっこめる。

「乗ろう」

と、思った時は

もう一方の足を、ゆっくりのせて

よいしょ、と言う感じで乗ってくる。

意思決定までが、長い。

 

私は、足が離れるのかもう片足も乗るのか

じっと待つことになる。

 

そんな彼女の

片足が私の手にのった瞬間をとらえて

「あくしゅ」なんて声掛けをして

足を離させて、おやつを与えるなど

していいものだろうか。

 

手に乗ろうか乗るまいか、一大決心をしようと

考えに考えている

オキナインコの気持ちを無視してはならない。

 

あくしゅはまだ早い。

そのころ、そう思った。

 

しかし、このところ

我が家の子になって、もう半年。

両足が私の指に乗るのが速くなってきた。

 

安心して乗ってくれているみたい。

 

私も、あきちゃんの気持ちが少しわかってきた。

 

あきちゃんは、私の左手に乗るのが好きみたいなのだ。

 

右手だと、あきちゃんのからだの左がわに

私の親指が来ることになる。

しっかり親指を てのひらに折りたたんでいるのだけど

どうも気になるらしく

親指を嚙んでくる。

 

左手の方が安心できるみたいで

すんなり乗ってくる。

 

手に乗ってしまえば、左手から右手に

ステップアップするのは、気にならないようで

すんなり乗り換える。

 

不思議だけど

あきちゃんは、そうなのだ。

なにか嫌なことがあったのかもしれない。

わからないけれど。

 

さし餌をされて育った鳥だから

人間になれているから

私の存在はへいきだけど

 

なれているというのと

なついている というのは

明らかに違っていて

 

やっと、なついてきたと

最近は感じている。

 

あきちゃんが、

 

このくらいのことしても

ママは、おこんないよね

 

みたいに、私の髪の毛を

プチプチかみちぎったり

 

カゴの屋上に上って

キュルキュル鳴いたりするのが

 

私の思いこみだとしても

お互いがより親しくなったように感じられる。

 

そこで、わざと、右手を彼女の前に出してみて

あきちゃんが片足を乗せたのを見計らって

「あくしゅ」と声掛けして

右手をそっと引いて 足を外し

「じょうず!」とほめて

麻の実を与えてみた。

 

あきちゃんは、とまどったみたいに

固まっていたけど、麻の実を受け取って食べた。

 

2回、3回と

同じようにして、麻の実をあげた。

 

無反応だったけど、食べた。

 

「もうおしまいにしようね」

と言って、あきちゃんの好きな燕麦をあげたら

すこし食べて

こちらも見ずにじっとしていたけど

そのうちカゴの中に帰っていった。

 

次の日、あきちゃんの足元に

「あくしゅ」

と言って、右手の人差し指をさしだしてみた。

 

あきちゃんは、すこし考えて

右足をかけて離した。

「じょうず!」と言って麻の実をあげると

食べた。

3回続けて、あくしゅして

4回目は、

「もうしたくありません」

みたく、足をかけないので

そりゃ、嫌よね何回も。

あくしゅなんかしなくても、おやつはあげるよ

といって、麻の実をあげたら、

受け取らなかった。

食べたくなくなったようだった。

 

その次の日もそんな感じで

あっさり

あくしゅしてくれるようになった。

 

そして、あくしゅを覚えて4日目。

 

あきちゃんは、かごから出てきて

私に向かって

右足をあげた。

 

私は

「あくしゅするの?

 おやつ食べたいの?」

 

と言って

「ちょっとまってね、おやつ出すね」

 

と、麻の実のはいった瓶の蓋を慌ててあけて

 

「あくしゅ」といって、

右手を出した。

あきちゃんは、右足をのせて離した。

「じょうず!」

といって、私は麻の実をあげた。

あきちゃんは、麻の実を食べた。

 

それを見ていた息子が

 

「あきちゃん、よかったね。

 これで、食べたいときに麻の実を食べることが 

 出来るね」

 

とあきちゃんに声をかけた。

 

私は、

よく動画サイトで見かけるような

芸をおしえてみたかった。

 

芸を教えるというのは

オキナインコに考えさせることでもあるらしく

 

頭を使わせることは

オキナインコを暇にささせない事にもつながるらしく

 

まあ、良いことらしいので

やってみたのだが

 

あきちゃんは

あっというまに

「あくしゅ」の声掛けと

麻の実とを関連付けた。

 

4日目には

麻の実を食べるためには

足をあげればよいのだ

と、考えたようだった。

 

オキナインコに頭を使わせることは

成功したといえる。

 

ただ、ちょっと、

私がイメージしていた、

 

インコに芸を教える

インコが芸をする

 

というのとは

違う結果になったみたいに思えて

 

息子が言うように

あきちゃんが自分の思いを

ピンポイントで伝える手段を得たという意味で

最も利益があったのは

あきちゃんなのではなかろうか

と思うのだ。

 

ともあれ、

 

あきちゃん、よく考えました。

えらかったね。

 

 

 

うちのオキナインコ、2歳

昨年8月、オキナインコを購入しました。

 

近所のペットショップに、1年以上いて、

なんだかずっと知り合いみたいな気分になっていた鳥でした。

 

抹茶色のノーマル種で、ショップ暮らしが長くなって

いっつもおんなじ止まり木の

同じ、お気に入り(?)の場所に

ちんまりと、とまっている鳥でした。

 

一時期、店頭からいなくなっていて、

「誰かが買ったんだな

 うらやましいなぁ、オキナインコ買えるなんて」

と、思っていましたが

 

ある日行ったら、またオキナインコがいて、

「新しいオキナインコ入荷したんだ

 人気あるんだな」

と思って見に行ったら

 

インコの紹介のメモが

以前と同じ内容が書かれてあって

「売れたんじゃなかったのね」

と、思ったのでした。

 

 

メモの内容は

自分の時間を持ちたい子です

と、いうような内容。

 

良く馴れているとか

おしゃべりします

でなく。

 

なるほど、

べたべたしないタイプなんだね

と、私は理解したのでした。

 

そんな鳥と暮らすと

ちょっと寂しい気持ちになる時があります。

いつも、手に飛び乗ってほしい、とか

かきかきしたい、とか

こちらの要求がすんなり通らないと

なんだかさみしい。

そうそう

ニギコロさせてくれないとか。

 

分かっていたのに、

よりにもよって自分の時間を大事にする子を

考えに考えた末

思い切って買ってしまったのでした。

しかも、

買ったその日は、2歳のお誕生日の前日。

 

気長く接しないといけないなぁ。

家に連れて帰った日が肝心だね。

 

と思って、彼女

(性別はわからないけど、なんだか女子みたいに感じるので)

のペースで、

ショップで入れてもらった箱から出てくるのを見守っていたら

15分で2㎝みたいなスピードで

ちょっとずつ出てきたので

 

あー、これはすごく慎重というか

こわがりというか

そういう子なんだなぁ

 

と思ったのでした。

 

ショップに長くいたので

「おきちゃん、かわいい」

なんておしゃべりして

自分の名前は

「おきちゃん」だと認識している風で

 

でも、私としては

「おきちゃんはないでしょう

 かわいくない」

 

とか思って

 

そうだ、音が似ている女の子みたいなかわいい名前にしよう

 

とか考えて

 

「あきちゃん」にしたのでした。

 

我が家には、セキセイインコが3羽いて、

最年長が3歳。

3歳、2歳、5か月という年齢ですが

あきちゃんが一番の新参者。

たとえ、2歳でも、一番の新参者。

 

あきちゃん、がんばれ

ちょっとずつでいいから、

我が家の子におなり。

 

私は、念願のオキナインコを

我が家に迎えたのでした。