オキナインコと私

オキナインコのあきちゃんと暮らしています。

あきちゃん、あくしゅ

最近、あきちゃんに

あくしゅを教えてみた。

 

あくしゅ、を教えるのは、以前一度断念していたのだけど

 

なぜ、断念したのかと言うと

その時は、まだお互いが親しくなかったから。

 

あきちゃんは、

「手に乗りませんか」

と、言って手を差し出した時

「乗ってもいいかな」という気分だった場合

右足をそーっと私の人差し指の根元にかけて

そのまま、しばらく考える。

「やっぱりやめとこう」

というときは、そーっと足をひっこめる。

「乗ろう」

と、思った時は

もう一方の足を、ゆっくりのせて

よいしょ、と言う感じで乗ってくる。

意思決定までが、長い。

 

私は、足が離れるのかもう片足も乗るのか

じっと待つことになる。

 

そんな彼女の

片足が私の手にのった瞬間をとらえて

「あくしゅ」なんて声掛けをして

足を離させて、おやつを与えるなど

していいものだろうか。

 

手に乗ろうか乗るまいか、一大決心をしようと

考えに考えている

オキナインコの気持ちを無視してはならない。

 

あくしゅはまだ早い。

そのころ、そう思った。

 

しかし、このところ

我が家の子になって、もう半年。

両足が私の指に乗るのが速くなってきた。

 

安心して乗ってくれているみたい。

 

私も、あきちゃんの気持ちが少しわかってきた。

 

あきちゃんは、私の左手に乗るのが好きみたいなのだ。

 

右手だと、あきちゃんのからだの左がわに

私の親指が来ることになる。

しっかり親指を てのひらに折りたたんでいるのだけど

どうも気になるらしく

親指を嚙んでくる。

 

左手の方が安心できるみたいで

すんなり乗ってくる。

 

手に乗ってしまえば、左手から右手に

ステップアップするのは、気にならないようで

すんなり乗り換える。

 

不思議だけど

あきちゃんは、そうなのだ。

なにか嫌なことがあったのかもしれない。

わからないけれど。

 

さし餌をされて育った鳥だから

人間になれているから

私の存在はへいきだけど

 

なれているというのと

なついている というのは

明らかに違っていて

 

やっと、なついてきたと

最近は感じている。

 

あきちゃんが、

 

このくらいのことしても

ママは、おこんないよね

 

みたいに、私の髪の毛を

プチプチかみちぎったり

 

カゴの屋上に上って

キュルキュル鳴いたりするのが

 

私の思いこみだとしても

お互いがより親しくなったように感じられる。

 

そこで、わざと、右手を彼女の前に出してみて

あきちゃんが片足を乗せたのを見計らって

「あくしゅ」と声掛けして

右手をそっと引いて 足を外し

「じょうず!」とほめて

麻の実を与えてみた。

 

あきちゃんは、とまどったみたいに

固まっていたけど、麻の実を受け取って食べた。

 

2回、3回と

同じようにして、麻の実をあげた。

 

無反応だったけど、食べた。

 

「もうおしまいにしようね」

と言って、あきちゃんの好きな燕麦をあげたら

すこし食べて

こちらも見ずにじっとしていたけど

そのうちカゴの中に帰っていった。

 

次の日、あきちゃんの足元に

「あくしゅ」

と言って、右手の人差し指をさしだしてみた。

 

あきちゃんは、すこし考えて

右足をかけて離した。

「じょうず!」と言って麻の実をあげると

食べた。

3回続けて、あくしゅして

4回目は、

「もうしたくありません」

みたく、足をかけないので

そりゃ、嫌よね何回も。

あくしゅなんかしなくても、おやつはあげるよ

といって、麻の実をあげたら、

受け取らなかった。

食べたくなくなったようだった。

 

その次の日もそんな感じで

あっさり

あくしゅしてくれるようになった。

 

そして、あくしゅを覚えて4日目。

 

あきちゃんは、かごから出てきて

私に向かって

右足をあげた。

 

私は

「あくしゅするの?

 おやつ食べたいの?」

 

と言って

「ちょっとまってね、おやつ出すね」

 

と、麻の実のはいった瓶の蓋を慌ててあけて

 

「あくしゅ」といって、

右手を出した。

あきちゃんは、右足をのせて離した。

「じょうず!」

といって、私は麻の実をあげた。

あきちゃんは、麻の実を食べた。

 

それを見ていた息子が

 

「あきちゃん、よかったね。

 これで、食べたいときに麻の実を食べることが 

 出来るね」

 

とあきちゃんに声をかけた。

 

私は、

よく動画サイトで見かけるような

芸をおしえてみたかった。

 

芸を教えるというのは

オキナインコに考えさせることでもあるらしく

 

頭を使わせることは

オキナインコを暇にささせない事にもつながるらしく

 

まあ、良いことらしいので

やってみたのだが

 

あきちゃんは

あっというまに

「あくしゅ」の声掛けと

麻の実とを関連付けた。

 

4日目には

麻の実を食べるためには

足をあげればよいのだ

と、考えたようだった。

 

オキナインコに頭を使わせることは

成功したといえる。

 

ただ、ちょっと、

私がイメージしていた、

 

インコに芸を教える

インコが芸をする

 

というのとは

違う結果になったみたいに思えて

 

息子が言うように

あきちゃんが自分の思いを

ピンポイントで伝える手段を得たという意味で

最も利益があったのは

あきちゃんなのではなかろうか

と思うのだ。

 

ともあれ、

 

あきちゃん、よく考えました。

えらかったね。